太宰治「走れメロス」を国語の教科書ぶりに読んだら、味わい深かった

書評

こんにちわ。バナナ夫と申します。

最近は暇があれば太宰治の小説を読もうという試みをしており、
前回は太宰治の「斜陽」の文章が美し過ぎたし、退廃的な感じが自分好みで、面白かったという話をした。

また、太宰治の小説好きが高じて、太宰治の破天荒な女関係についてもまとめてみた。

太宰治は、日本中で今もなおコアなファンがいて、多くの人に愛されているだけあり、
なかなかに奥が深く、味わい深い。

今回は、小学生の時だったか中学生の時だったかに国語の授業で読んだ「走れメロス」について、
御年30を超えた今になって、20数年ぶりに読んでみた。

やはり、面白かった。文章が良い。
物語自体は20数ページで完結しており、すぐ読めるので、是非一読してほしい。

走れメロスの良さ。「メロスは激怒した。」で始まる力強い文体。

「メロスは激怒した。」で始まる力強い文体。
力強い文体が物語にマッチして、非常に引き込まれる。

「邪知暴虐」「暴君ディオニス」など、
中二心をくすぐるような単語が出てくるのが、また良い。

やはり、誰が何と言おうが、自分にとって太宰治の文章は美しく、読みやすいのだ。

「走れメロス」に関しては力強い文体だが、
「斜陽」では女性視点の儚げな文体だし、
太宰治は作品によって文体が全然違うのも、面白い。

走れメロスの良さ:ストーリー。

走れメロスは、ストーリーがわかりやすくて良い。
あらすじは次の通りである。

人を信じることができないため、周囲の人を殺しまくり、街を恐怖で支配する暴君ディオニス。
これを聞いた正義感の強いメロスは、暴君ディオニスを成敗しに丸腰で向かう。
が、あえなく捕まる。

妹の結婚式が控えていたメロスは、親友のセリヌンティウスを人質に差出し、
3日後の日没までに必ず自分は戻ってきて処刑されるので、戻ってこなければセリヌンティウスを殺せ、という約束を王と交わす。

メロスは故郷に戻り妹の結婚式を盛大に祝った後、3日目の朝に、親友セリヌンティウスの元へ向かうべく、故郷を出発。

しかし、大雨で川が濁流になっていたり、王が差し向けた山賊に襲われたりといった不測の事態に見舞われ、体力の限界を迎えたこともあり、一時は友を裏切り、約束の3日後に間に合わせることを諦めそうになる。

それでも、そんな葛藤を乗り越え、メロスは疾風のごとく走り、なんとか日没までにギリギリのところで、磔にされているセリヌンティウスの元へ駆けつける。

メロスとセリヌンティウスは、お互いに一度は友を疑う気持ちが芽生えたことを告白し、謝罪のため互いに一度ずつ殴り合い、その後熱く抱擁した。

暴君ディオニスは互いに信じあう真の友情に感銘を受け、心改めることを誓い、二人を解放するのであった。

走れメロスの良さ:友を裏切って自分が助かるか、自分を信じてくれている友に報いるため自分が死にに行くか、葛藤の描写がリアル。

途中、山賊に襲われて体力が尽きたメロスは、思いを巡らせる。

ここまで自分は頑張った。全力を尽くした。
でも、不測の事態が起こり、どうしようもない状況になった。
自分は友セリヌンティウスを裏切る気持ちはみじんも無かった。でも、体力の限界を迎えたのだ。
私は一生裏切り者と言われるだろう。
それならば、セリヌンティウスの後を追って死なせてくれ。
いや、もういっそ、悪者としてこれから生きてやろうか。
人を殺して自分が生き残るのが、この世の理ではないか。
ああ、もう何もかもがどうでもよい。


といったような、メロスの心理描写が描かれている。

最初は、うまくいかなったことへの言い訳から入り、
いっそ自分の利を追求して友を裏切るという行為を正当化しかける弱さ、
そして何もかもがどうでもよい、と投げやりになる様子。


人間の弱い部分が描かれており、共感できるけど、セリヌンティウスを裏切るなよ!とやきもきもする。

でもこういった人間の弱い部分の描写が、太宰治の作品の良さなんだと思う。

走れメロスの良さ:ハッピーエンドで終わる物語と、「勇者は、ひどく赤面した。」で終わる物語のオチ。

走れメロス、最後はハッピーエンドである。

物語というのは、ハッピーエンドが読んでて一番スッキリする。
読後すがすがしい気持ちになるのである。

最後にメロスとセリヌンティウスが熱い抱擁を交わし、暴君ディオニスが二人を許すくだりは、
まさにハッピーエンドで、読んでるこちらも心が良い気分になる。

さらに、走れメロスは、オチまでついている。

疾風のごとく無我夢中で走ってセリヌンティウスの元に駆け付けたメロスは、
自分では気づいていなかったが、服が取れ去っており、全裸の状態になっていた。
少女が、緋のマントをメロスに捧げて、メロスは自分が全裸だということに気づき、
「勇者は、ひどく赤面した。」というオチで、物語が終わるのである。

ベタだけど、ハッピーエンド+オチがある物語って、しっくりきて良い。

走れメロス、つっこみポイントはある。

走れメロス。

社会人的な視点から言わせてもらうと、
3日目の日没までという約束にむけて、もっと余裕を持って早めに故郷を離れるべきだ。
友の命がかかっているのだから、なおさら、ものすごーく余裕を持って、2日目の朝に故郷を出て、
2日目にはもう約束通り帰ってきました、ってくらいのゆとりを持って行動すべきた。

まぁ、それだと物語的には、面白くないけども。

走れメロス、面白い。

結論、走れメロスは面白い。
さすが国語の教科書に出てくるだけのことはある。
大人でも楽しめる内容だ。

是非、久しぶりに、読んでみてはいかがだろうか。

「走れメロス」


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